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いわゆる一つの萌え要素の為の場所
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 笑いあっている二人をカイは不思議そうに見ている。それが滑稽に思えておれも笑ってしまう。
 コホンと咳払いをしてからカイに向かって瑠奈が言う。
 「あ~、そこでこっちを見ている君!そう君だよ君! まあ、こっちへ来なさい」
 といいつつ自分でカイの隣に座る。カイはおれと瑠奈に挟まれる形となった。
 「ほう、なんといい面構えだ。ティン☆ときた!君のような人材を求めていたんだ!」
 カイは狐につままれたような顔をしている。なんなんだ?といわんばかりだ。仕方ない、補足をしてやろう。
 「われわれは今、ともに冒険をしてくれる仲間を募集中だ」
 「一年後に勇者が旅に出るまででもいいから、私たちの仲間になってほしい」
 「ダメかな~?」
 返答に困っているようだ。状況を整理したいのかカイが質問をした。
 「お前ら、旅の目的は?」
 「ない」
 代表しておれが答えた。
 「ないのか」
 「まあ具体的な目標はないな。最終的にゾー・・・魔王を倒せるのなら倒すのもよし、単に観光がてらに冒険旅行をするもよし。特に決まってはいないな」
 家に帰る方法を探す、というのは伏せておいた。頭おかしいと思われても困る。だが、
 「ちょっと事情があって違う世界からこっちに迷い込んじゃってね~。帰る方法がわからないからそれを探すのが目的かな~」
 瑠奈がぶっちゃけた。そういうことはわざわざ言わなくていいのに。
 「何?それじゃあお前らは異世界人だとでも言うのか?」
 「そうだよ~」
 「そうか・・・」
 あきれられたな。これは。
 「よし、面白そうだ。仲間にしてもらおう」
 そうだよなぁ普通仲間にして・・・・・・
 「な、なんだってー!?」
 このネタ二度目じゃないか。いや、そんなことはどうでもいい。
 「いいのか?!」
 「ああ、いいぞ。異世界人ってだけでも面白そうだしな。それに、お前らとは楽しくやれそうだ。それになにより・・・・・・強そうだ」
 酔っ払い三人をシメただけだがかなり評価が高いようだ。あまり買いかぶられても困るのだが。
 「やった~。これからよろしくね~」
 「ありがとう。ああ、自己紹介がまだだったわね。私は璃緒。冒険とかは素人だけど、よろしくね」
 「ようし、そうと決まれば懇親会と自己紹介を兼ねて実戦訓練と行こうか」
 それが一番相手のことがわかるのにベストだ。
 「よし、俺の力を三人に見せるのに丁度いい。行こうか」
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 「ああ、そだ。そろそろ帰ってくるころだと思うんで、あいつらに飲み物出して欲しいんですけど」
 「何にするかい?」
 メニュー表を眺める。酒はまだやめておこう。ノンアルコールがいい。なにがあるだろうか・・・・・・
 「じゃあこのハニーミルクってのを。牛乳に蜂蜜混ぜたものですよね?」
 「牛乳なんかないよ。それはヤギのミルクに蜂蜜を混ぜたのさ。まあそれだけじゃないけど、レシピは企業秘密さね」
 企業秘密ってひよのじゃあるまいし。とはいえ他によさそうなものもない。これにしておこう。
 「じゃあそれで。お願いします」

 それから少しして二人が戻ってきた。
 「よう、お帰り」
 「ただいま~」
 「全くいらない手間をかけさせられたわ・・・・・・ああ、そうそう、ここにいた銀髪の男にさっき遇ってね。じぃっとこっち見てから、『ありがとう』って言われちゃった。なんだったんだろう?」
 「じっと熱い視線を璃緒ちゃんにかけてたね~」
 あの泥棒は意外と礼儀正しいようだ。にしてもありがとうとは、面白い。
 理由を説明すると、納得しながらも怒っていた。あいつのためにやったわけじゃない、と言っていた。ツンデレかお前は。
 「ところで~、隣の人は?」
 「ああ、呑み友達だ」
 二人ともお酒飲んでないじゃん~、と瑠奈が言う。
 「ん~・・・璃緒ちゃん?」
 「ん、そうね・・・」
 璃緒がおれを見る。うなずいてそれに答える。
 「決まりね」
 璃緒と瑠奈が顔を見合して笑いあう。
 一人取り残された。とりあえずカウンターに向かう。
 「連れがごろつきに絡まれてるのにこんなとこで酒なんか飲んでていいのか?」
 カウンターに座っている戦士風の男が言う。
 その隣に座る。
 「まあいいんだ。お呼びでないようだからな。来るなって言われてたのさ」
 言われたといっても目で、だが。
 「それを言うなら女の子が絡まれてて助けないあんたもどうかと思うけどな」
 「それはだな・・・・・・俺も同じなんだよ」
 ほう。
 「止めに入ろうとしたらあの、どうのつるぎ下げてるほうが目で制止したんだよ」
 あの時カウンターを見てたのはそういうことだったか。邪魔立てするな、そういう目で見たんだろう。
 「そういやお前の連れはもう一人いなかったか?若い女だったと思うが」
 「ああ、あいつ、瑠奈っていうんだが・・・・・・あいつなら先に出ていったよ」
 「先に?」
 「ああ、殴って全員の注目が髪の長いほう・・・璃緒っていうんだが、あいつに集まった時にな。こそっと店から抜け出してたんだ」
 「今の話聞いてると、彼女らは単に逃げたわけじゃないのかい?」
 カウンターの中にいる女性が割り込んだ。
 「はい、まあそうです。店の中で騒ぎを起こすのも悪いですからね。ぼくはその辺の事情を説明するためにおいてかれたようなもんです」
 「あの子たち大丈夫なのかい?」
 「勝てなければ戦わないですよ。今頃殺さない程度にシメてるんだと思います」
 「そう・・・・・・ならいいんだけど・・・」
 少し言いにくそうにしている。
 「その、さっきの三人。まだお金もらってないのよ。揉め事を店内でしないって配慮は嬉しいんだけど・・・食い逃げされたようなもんだから・・・・・・」
 そうか、飲み食いしてタダで店を出られては困るのは当然だな。だけど・・・
 「それなら心配ない」
 男は言うなりテーブルにいた銀髪の男のほうを見て、
 「お前が会計するついでに払ってやればいい」
 こいつ何言いだすんだ。
 「ちっ・・・わかったよ。ルイーダさんいくら?」
 こいつも何言ってるんだ。そこは怒るとこだろう。
 「うちはお金さえ払ってくれれば誰でもいいからねぇ。でも、あんたいいのかい?」
 「いいんだよ。きっちり払ってやるよ。ついでにおれが食った分も会計してくれ」
 そういってお金を払って出て行く。気前がいいやつだ。お金持ちなんだろうか。
 「なんだったんだ?あいつも素直にお金払うし・・・あいつはあんたの連れか?」
 「いやそうじゃねえよ」
 「だったらなんなんだ?」
 「あいつはな、盗賊なんだよ。お前の連れが隙を見て店から出たように、あいつはあいつで仕事をしていたのさ」
 「な、なんだってー!?」
 「あん?」
 「いや、言ってみただけだ。そうか、あのお金はあの三人のお金か」
 「ああ、だから俺が言ったときも素直に出したってわけだ。黙って見逃してもらえるんだからな」
 「そうだったのか。・・・ああ、自己紹介がまだだったな。おれは緑崩。よろしく。二人は帰ってきたら紹介するよ」
 「緑崩か、変わった名前だな。俺はカイ。こちらこそよろしくな」
 といって右手をを差し出す。こちらも右手を出して握手をした。
 太陽が傾き始めたころ、おれたちはルイーダの酒場に向かった。
 新しい仲間を探すためだ。理想は前衛で壁を作れる戦士を仲間にすることだ。
 「酒場、か~」
 「酒場だな」
 「酒場なんか入るのは初めてね」
 居酒屋くらいならあるが、酒場なんかは初めてだ。こんなことでもなければ一生来なかったかもしれない。それは璃緒も瑠奈も同じだろう。
 酒場に入って周りを見渡す。勝手に抱いていた酒場のイメージとは違いシャレた感じの明るい店内だった。カウンターの中に女性が一人。それ以外の店員は見える範囲ではいない。客はバーに戦士風の男が一人、真ん中のテーブルに三人組の男たち、そして三人組の隣の席に一人で座ってる銀髪の男が一人だった。
 こいつらこんな昼間から酒飲んでなにやっているんだろうか。
 三人組がこちらを見る。ニタニタと気持ち悪い笑い方をしている。一人がこちらに歩み寄りながら言う。
 「おうおう随分と可愛らしい子が来たもんだ。冒険者志望かい?それとも売りかい?」
 座ったままの二人はそれを聞いて笑っている。
 「え~可愛い~?」
 両手に顔を当ててほほを染めている瑠奈。すっとぼけたことを言ってるな、ほっておこう。
 璃緒は黙って聞いている。
 「まあそんなとこおらんと姉ちゃんたちこっちきて一緒に飲もうぜ」
 璃緒の手をつかみながら言う。
 「気安く手を触れるな」
 「まあいいじゃないか、俺たちとお話しようぜえ」
 男は馴れ馴れしく肩に手を回す。
 「おい!やめろ!」
 「なんだてめえなんか文句あるのか!」
 言っても無駄か。
 璃緒は男を見ていない。どこを見ている。テーブルに座っている銀髪の男を見ているようだ。銀髪の男は璃緒を見てはいない。
 璃緒はカウンターに視線を向けた。酒場の女性は思案顔をしている。戦士風の男はじっと璃緒のほうを見ている。
 それから璃緒は後ろにいた瑠奈と目を合わせ、それからおれのほうを見る。
 目が合う。璃緒が男のほうを向く。
 「触るなって言ってるでしょ!」
 璃緒の左のフックが男の頬骨を打った。倒れる男。
 「てめえ!!」
 それを見た仲間の男が立ち上がって璃緒に走り寄る。
 倒れた男も立ち上がる。
 璃緒はきびすを返して店の出口に走り、そのまま店を出る。
 三人の男はその後を追って店を出た。
 おれ一人取り残されてしまった。
 それから一週間実戦訓練を続けた。これでだいぶ強くなってきたようだ。
 緑崩がニフラムとピオリム、瑠奈がスカラとヒャドを覚えた。試しにと思いレーベ以東に足を向けてみたところ、いっかくうさぎとおおありくい程度ならば勝てることがわかった。いっかくうさぎの角も人を突き殺せるほどの鋭利なものではなく、強度もあまり高くはなかった。
 しかし、七日目に更に東へ進んだのがまずかった。フロッガー、さそりばちなど強力な魔物の攻撃に苦しめられてなんとかレーベに逃げ帰った。
 この苦戦から一旦訓練を中断し対策を練ることとなった。
 一日を休息と強力な魔物と戦うための作戦会議に充て、翌日以降の方策を考えることになった。宿泊場所はアリアハン。キワモノ装備の多いレーベよりもこちらのほうが装備を調えやすいという理由からであった。
 「今日一日の休憩の間に、これからどうするかを決めたいんだけど・・・・・・」
 「やっぱちょっと不安定だよなぁ。ポストプレイヤーっていうか、前線でしっかりと受け止めるってのがいない。おれや璃緒じゃ無理だしなぁ」
 「そうよねぇ。どうしたって限度があるわね・・・・・・」
 「となると~?」
 「となると・・・こうするしかないわね」
 「そうなるなぁ。不安もあるけど」
 「けって~」
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