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緑崩と瑠奈がリゾットをほおばっている頃、カイと璃緒もまた、朝食を食べていた。
二人がいるのはパスタ料理の露店だ。露店の左側に看板があり、赤い文字で「ジョンのスパゲッティ」と書いてある。ジョンと呼ばれている大柄な男が数種類のスパゲッティを作り、それを販売している露店だ。
「あら・・・おいしいわね」
璃緒は皿に盛られたパスタをフォークで巻いて口に運び、ゆっくりと嚥下してからそう言った。璃緒が食べてるのはボンゴレッソという、オリーヴオイルと白ワインでアサリと一緒に蒸したパスタで、この店でも一番の人気商品だ。
「だろう。それが一番のオススメだ。まあ、ここのパスタはどれもうまいんだがな」
そういいながらカイもスパゲッティを口に運んだ。カイが食べているのはカルボナーラだ。茹でたスパゲッティの上に融けたチーズとクリームのかけたものだ。
朝に食べるには少し重そうだなと、璃緒は一目見て思った。だが、カイがおいしそうに食べているので、それを口に出すのは憚られた。その代わりに、
「そっちのは?カルボナーラおいしい?」
と、聞くことにした。
「ああ、このクリームがなんとも絶妙でな。濃すぎず薄すぎず、麺と絡んでうまいんだ」
だが意外な程に人気がないらしいんだ、とカイは不思議そうに語った。
それを聞いた璃緒は、ちょっとくどいから特に女性が好まないだろうなと思ったが、口には出さなかった。ただ、「不思議ね」と相槌を打った。
そんな会話を続けながらスパゲッティを食べていると、不意にカイが璃緒のほうを見て目をしかめた。
それに気付いた璃緒が、どうかしたかと尋ねるとこう答えた。
「今どうやって食べたんだ?」
そう言われた瞬間、璃緒は何を言われているのか全くわからなかった。記憶を巻き戻して思い返す。
そして、ピンと来た。きちんと巻くのが面倒になって、璃緒は少し行儀が悪いとは重いながらも麺を軽く巻きつけてすすって食べたのだ。
それを思い出した途端、璃緒が抱いていた疑問は氷解した。同時に、欧米の人がすすって食べられないということも思い出したからだ。
「えっと・・・さっきすすって食べたことかしら・・・となると説明がすごくむつかしいんだけど・・・」
璃緒はとても困ってしまった。すするという概念がそもそもなければ、説明することはかなり困難を極める。実際に見せても理解してもらえるとは思い難かった。
結局、すするということを一生懸命理解してもらおうとはしたものの、璃緒の努力は徒労に終った。カイは理解したようなしてないような、中途半端な表情だった。
カイは未だ納得しかねる表情だったが、璃緒が食べ終わるのを待って席を立った。そして、皿を返して露店を離れる。
露店を出たところで、カイは璃緒に尋ねた。
「それで、これからどうする?」
「そうねぇ・・・二人と合流しなきゃなんないんだけど、こんな広いところで見つけられるかしら?人が少なければまだ見つけやすいけれど、これだけ人が多いと一苦労ね」
「そうだな、集合場所でも決めておけばよかったんだがな。今となってはしょうがないが・・・とりあえず広いところへ出るか。そっちのほうが店も多いし見つかる可能性が高いだろう」
その案には、璃緒も同意した。
市場は、泉のある広間を中心に放射線状に広がっているので、その広間を目指すことになる。とはいえ、広さで言えば歩いて五分もあれば端から端まで移動できる広さである。それほど時間はかからずに広間に着いた。
二手に分かれて、泉から周りを見渡した。璃緒はしばらく探したが緑崩と瑠奈を見つけられなかったので、一旦カイと合流した。
「いた?」
「いや、こっちにはいなかった。そっちは?」
「こっちもダメだったわ」
そんなやり取りの後、また別の場所を探そうと璃緒が歩き出した時、カイがあるものに気付いた。
「おお、これがやるのか」
そんなカイの言葉に反応して、璃緒は振り向いた。そして、カイに何を見たのか聞いた。
「璃緒、ロマリアで一番大きなイベントの一つに武術大会があるんだがな、その開催が近いらしいんだ」
外人はすすれないって言われてるのを思い出してこんな話。クッキングパパでも、アメリカ出張の時にラーメンをすすらず食べてるって話があったね。
武術大会。まあファンタジー世界ではベタな展開ですな。勇者でもない旅人が王に会って金の冠の話をするためには、こういうのが必要だったのだ。それと、当日までの訓練によって、一般人の三人がある程度冒険者としてやっていけるレベルになる&自信を持つ必要があったしね。特に新大陸はカザーブの武闘家を倒した(マダイの大冒険参照)あの強敵が出現するし、今までの動物たちとは違う、レベルの高い戦いが必要になるだろう的な。実際に、ゲームでもアリアハンはどうのつるぎで十分だけど、あいつの鎧を通すにはどうのつるじゃ攻撃力が足らないしね。実際に刃物を持っている相手との戦いを不自然なくこなすためにもこんな話がいるんじゃないかと。
ゲームのプレイ日記に終始しないように、こういう小ネタを随所に挟むのさw