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某クイズ番組収録にて
ナレーター:「胸板、まな板、ベニヤ板。体の一部はどれ?」
あずさ:「え~っと・・・」
チラッ
千早:「!!?」
あずさ:「まな板かしら~」
千早:「くっ」
瑠奈の呼ぶ声が聞こえてきた。
何かしら?と首をひねる璃緒に、さあ?とこちらも首をひねり返す。
読みかけの小説、ひぐらしのなく頃に解 罪滅ぼし編前編にしおりを挟んで、同じように漢書二巻を閉じた璃緒と共に瑠奈の部屋に入る。
瑠奈の部屋に入ると、瑠奈はパソコンに向かって正座していた。
「何か面白いものでもあった?」
瑠奈がパソコンに向かっていて、自分たちを呼んだ。何かネットで見つけたのだろうことは明白だった。璃緒と共に座布団を二つ、瑠奈の後ろに並べて座る。
「これ面白いから見てみて~」
そう言われて画面を覗き込んだ。
「なんでもポケモン図鑑・・・?」
先頭に書いてある字を璃緒が読み上げた。
気泡のような装飾のある白い背景に青紫色の長方形が浮かび上がっている。その中の太字を読み上げた。
「NO.679 瑠奈?」
更に、その下に「おしゃべりポケモン」と書いてある。以下は説明のようだ。
「えーっと・・・・・・うしろあしで たつようになり たかい ちのうをえた。瑠奈の ふしぎなちからで おじさんたちが つれさられる じけんが おきた。・・・・・・だって。瑠奈、あなたたかいちのうを得たらしいわよ」
「それよりも、ふしぎなちからでおじさんたちが連れ去られるってwwお持ち帰りぃ~☆ってかww」
「はぅ、なんでおじさんなのかな?かな?」
とりあえず瑠奈の頭を一発はたく。
「うう・・・何する~」
「いらっとしたんだ。仕方ないね」
仕方ないね、この言葉によって瑠奈は言い返せなくなったようだ。仕方ないね。
「むう。じゃあ次緑くんで・・・・・・ゲット!だぜ」
瑠奈が「緑崩」と打ち込みクリックする。
結果を見て瑠奈が哄笑する。
「あはははは、でんのうせかいにふういんされちゃった。なんか似合ってる。面白い!」
瑠奈はなおも笑っている。人が電脳世界に封印されたのがそんなに嬉しいのか。
「まあ、封印してくれるのなら喜んで封印されるけど。ただし二次元に限る」
「全くあんたは何を言ってるの・・・・・・ああ、そっちの世界に飛ばされたとしても、『つねにねむってる』らしいわよ。だから何もいいことないかもしれないわね」
しんぞうを動かすためにいつも寝てるってなんなんだ。そもそも「しんぞう」って何だ。「心臓」か?寝続けないt死ぬなんてイヤ過ぎるな。「神像」かもしれない。もしかしたら「晋三」かもしれないが、彼はもう総理じゃないな。
「じゃあ次は璃緒ちゃん~ゲット!だぜ」
「ねこポケモンなのに(ひこう)と(いわ)ってなんだよwてか学者は何やったら璃緒になるんだよw」
「なんだか色々矛盾した内容ね。70cm9kgでインド象を飛ばすほど羽ばたけるなんて。緑崩は4m近くもあるみつばちだったし、滅茶苦茶で面白いわね」
だなぁ、と璃緒に相槌を打ちながら画面を見た。画面の前にある瑠奈の体が小刻みに震えている。
「ん?瑠奈、どうかし・・・」
「70cmでネコミミの璃緒ちゃん(;´Д`)ハアハア 」
瑠奈が暴走した。
「え?え?」
「もちつけ、単なる発作だ」
「そ~だ、今度璃緒ちゃんにネコミミ買ってきてあげるよ!絶対似合うから!いいでしょ、決まり~」
「・・・よくない!」
勝手に一人で自己完結した瑠奈に璃緒の脳天チョップ。
こうかはばつぐんだ。
「瑠奈ー。風呂空いたよ」
バスタオルで頭を拭きながら緑崩が言った。
「は~い、じゃあお風呂入ってくるね~」
瑠奈が風呂に向かうのを見届けて、緑崩は台所にいる璃緒に言う。
「璃緒ー、お茶くれ~」
璃緒は飲んでいたコップを置いた。新しいコップに氷を入れてから麦茶を注ぎ、緑崩に手渡す。
ごくごくごく、と緑崩は一気に飲み干した。
「キンキンに冷えてやがるっ・・・・・・」
「あ・・・・・・ありがてえっ・・・・・・」
「・・・・・・あ・・・そう。よかった・・・わね」
スナック菓子を出して璃緒と緑崩が食べていると、瑠奈が風呂から出てきた。
璃緒が氷入りの麦茶を瑠奈に差し出す。
「キンキンに冷えてやがるっ・・・・・・あ・・・・・・・ありがてえっ・・・・・・」
「瑠奈まで・・・・・・」
「ん~璃緒ちゃん何頭抱えてるの~?頭痛?」
「いや、うん、大丈夫だから。心配しないで・・・」
「よし、じゃあ久しぶりに三人でお酒でも飲むか」
「何がじゃあなのかわからないけどいいね~」
緑崩が日本酒と三人分のお猪口を出す。そしていかさきを皿に開ける。
瑠奈が豆腐を一丁お皿に載せ醤油と一緒に持ってくる。
璃緒がねぎを切り醤油皿に入れて持ってくる。
三人は手早く無駄のない動きで準備を済ませて座る。
緑崩がお酌をして一斉に飲み始める。
「うーん、おいしい。同じ宗玄でもこちらのほうが高い分すっきりしてておいしいわね」
「こうやって三人で飲むのもたまにはいいな」
「そういえばほんと~に久しぶりだね~」
「そうねぇ。いい日本酒にはやっぱりやっこみたいな薄味のものが合うわね。味が濃いものだとお酒の味を邪魔しちゃうし」
と、思い思いに飲み、食べ、喋った。
「ああああっ」
「緑崩、どうしたの?」
「お猪口に虫が・・・・・・」
緑崩の酒に羽虫が浮かんでいた。緑崩は嘆きながらお酒を捨てに台所へ入った。
「う~ん、文字通りお酒におぼれたんだね~」
「うう・・・・・・そういうことだなぁ。・・・まあおれたちもそうならないように気をつけようってことだな」
緑崩が時計を見ながら言った。それを合図に車の扉が開かれた。三人とも車から降りた。
「能登丼というのが食べられるみたいね。結構おいしそうだったじゃない」
「楽しみだね~」
三人は今幸ずしという店の前にいた。ガイドブックで読んでおいしそうだと瑠奈が希望した店だ。
瑠奈は我先にと入り口の扉を引き、店に入った。璃緒と緑崩もそれに続く。
店のおばちゃんがお茶を出してくれた。早速能登丼を注文する。ついでに鉄火巻きも頼んだ。
能登丼というものは、能登の特産品を使用した丼につけられる総称だ。いくつかの明確な基準を元に作られたものが能登丼になる。つまり、色々な店で別々の能登丼があるのだ。勿論これは海鮮丼に限ったものではなく、牛などを使ったものなどもある。詳しくはわからないし、覚えていない。今回食べた幸ずしの能登丼はイカとカワハギの肝合え丼というもので、名前のとおりイカとカワハギがつかわれている。
三人が雑談をして時間を潰していると、能登丼が運ばれてきた。イカとカワハギ、それぞれ一つずつの丼になっている。
「おいしそ~!いただきま~す!」
最初に来た能登丼を瑠奈は自分の前におくと、箸を取り出して食べ始めた。この箸も能登産のもので食べた後持って帰ってよいということだ。ちなみに、丼も能登産のものであるらしい。
「あ、おいしぃ~」
二つ目、三つ目も運ばれ、璃緒と緑崩も食べ始める。
「イカの弾力がすごいわね」
「カワハギもうまい。ただ、ちょっと柚子が強すぎるかなぁ。カワハギの味が飛んじゃう分だけ勿体無い気がする」
「う~ん、幸せ~」
「鉄火もきたから瑠奈食べてみぃ」
醤油に少しつけてひたして瑠奈に食べさせた。
「あ!おいしぃ~。普通の鉄火巻きとは比べ物にならないくらいおいしい」
「そりゃ、まあ比べるのも失礼な話ね」
「じゃあおれもいただくか。・・・・・・ん、おいしい。なにこれすごくおいしい。・・・あれだ、鉄火巻きをなめてたね。こんなにおいしいとは思わなかった」
「そんなにおいしいの?私にも頂戴」
少々値段は高かったが、十分満足した三人であった。
jamprojectの曲が流れる車内に声が響いた。声のトーンから推測するなら歳は10歳くらいだろうか。その声は助手席から聞こえてくる。しかし、声の主は助手席に座っている瑠奈からのものではない。瑠奈が手に持っているPSPから音が出ているのである。
「右だって~」
「右?」
璃緒が聞き返した。
「みゆきちが言ってるんだから右で間違いない!」
PSPを抱えながら瑠奈が言った。ちなみに、PSPにはナビがインストールされていて、音声案内の声はみゆきちこと沢城みゆきである。このナビを使うために瑠奈は助手席にいるのである。
そして運転席には璃緒が座っている。後部座席には緑崩がいる。璃緒は瑠奈と緑崩が運転をするのを嫌がっている。本人曰く寿命が縮むからとのことらしい。
そうこうしているうちに車は目的地に着いた。車を降り海岸まで歩く。海岸に着くと三人の目の前に多きな岩山が見えた。見附島である。
「大きいね~」
「そうね。飛び石があって近くまで行けるということだけど・・・」
「途中で切れてる気がする件」
途中で切れてるのも気にせず進むと、やはり途中で行き止まりになった。それで諦めて来た道を引き返した。
「潮が引いたら向こうまで渡れるのかしらね」
「どうだろうな。まあ渡れなかったのは・・・仕方ないね」
「ねえねえ、あれ見てあれ~」
瑠奈が指差した先には鐘が設置してある。そして、その近くには観音像が置いてある。
「えんむすびーち???」
璃緒は書いてある文字を読み上げた。しきりに首をかしげている。
「面白そうだからやってみようよ~。」
「まあ待て瑠奈。やったら虚しくなるから止めておけ」
「・・・・・・そうだね~」