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いわゆる一つの萌え要素の為の場所
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 緑崩が魔法の玉を壁に取り付けた。正確には、すぐ近くに設置したというべきか。壁に接するほどの位置にスタンドを立て、その上に魔法の玉を置いた。これにはある理由があった。
 「準備OK。いつでもどうぞ」
 緑崩は壁から離れながら瑠奈に言った。
 「まかせといて~。あ、ひのきのぼう貸してくれる?」
 「ん?わかった」
 ほら、と緑崩は瑠奈にひのきのぼうを渡した。
 瑠奈は受け取ると、グリップの端を左目に近づけた。右目を瞑り、望遠鏡を覗くようにしている。ひざを曲げ、中腰にしている点が望遠鏡とは異なるだろう。
 「照準を合わせてるのね」
 璃緒が言った。
 「こんなところかな~。じゃあ、いくよ~」
 瑠奈を除くみなが瑠奈を注視する。
 「Stand by ready.」
 瑠奈が流暢な英語で言った。
 「でぃばいん~・・・」
 「それが撃てたら苦労してないって!」
 緑崩がツッコンだ。緑崩にしてみれば、ツッコまざるを得ないことだったのだ。
 「もう~冗談じゃん~」
 「ボケられたらツッコミをしないわけにはいくまい」
 「いいから早くやんなさいよ・・・」
 「緊張感のないやつらだな」
 ホントに、と璃緒が頭を抱える。今回失敗すれば資金的にかなり厳しくなる。その上、そもそも素人が火薬を扱うことそのものに不安があるのだ。実験をしないのも、火薬を使う回数を減らしたいという意思の表れであった。そのため今回成功するかどうか璃緒は結構心配していたが、その気持ちを共有できるのは精々カイくらいであったらしい。いや、実際にはカイも、爆発物を扱うことへの緊張感などはなく、盛り上がりに水を差したことに対する憤りから言っただけであったが。
 「では気を取り直して」
 瑠奈が腰を落とし、右腕を真っ直ぐ伸ばす。人差し指が真っ直ぐ魔法の玉に向かっている。
 「メラ!」
 炎が瑠奈の人差し指から飛び出す。炎が魔法の玉に当たる。
 閃光と共に爆音が響き渡った。風が逆巻き、魔法の玉へと収束する。
 「どう・・・なった・・・?」
 壁には中央を穿たれている。穿たれた隙間から璃緒がその先を覗くと、階段が見えた。
 「よかった、成功したみたいね」
 「あの壁をぶち抜いたのか。大した破壊力だな」
 「だいせいこ~」
 「大成功のようだな。ハイセイコーではない」
 「誰がわかるのよそのネタ」
 といいながらも璃緒は笑った。年代的にも内容的にも親父ギャグじゃない、と付け足した。
 「でーっと、壊したけれど、これからどうする?入る?」
 緑崩の質問に対して、璃緒が言った。
 「そうね、今からだと遅いし準備もしてないから、一度アリアハンに戻って明後日また来ましょう」
 「そうだな。夜の洞くつは魔物も多いからな。そのほうがいいだろう」
 「じゃあロマリアは明後日だね~」
 四人はいざないの洞くつを出て、アリアハンに向かってキメラの翼を放り投げた。
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 太陽は西の空に赤く輝き、オオガラスが飛び交っている。いっかくうさぎはすでに影を潜め、おおありくいが巣穴に入っていく。
 そんなころ、璃緒たち四人は山に囲まれた林を歩いていた。林は山によって太陽をさえぎられていることもあり、とても暗い。このあたりはじめじめしているためかバブルスライムが多い。ギラで焼き払い、どうのつるぎで切り払いながら進んだ。そして、林の中央部にある泉にたどり着いた。
 「やっと着いたね~。洞くつはこの裏かな~」
 泉を見つけて瑠奈が言った。彼女の言う洞くつとはいざないの洞くつである。四人は完成した魔法の玉の威力を試すため、いざないの洞くつまでやってきた。いざないの洞くつに築かれた壁を打ち破るために魔法の玉という爆弾を作成したのである。この実験に成功すればそれはすなわち、目標達成にもなる。アリアハンの近くで一度爆破力の実験をするなどの案もあったが、金銭面からそうできなかった。魔法の玉は原料が高価なため、大量には作れない。いざないの洞くつに向かうまでの戦闘が資金稼ぎにもなる、という璃緒の主張が通ったかたちになった。
 泉をぐるりと迂回して洞くつの入り口を目指す。その間に出てきたひとくいがを璃緒が切り捨て、フロッガーをカイがどうのつるぎで突き刺した。
 「あれじゃないか」
 先頭を歩いているカイが言った。
 「あれみたいね」
 「じゃ、入ろうか」
 カイを先頭に洞くつの中に入る。洞くつは人工物らしく、階段が整備され、床は石畳で覆われている。ところどころ柱が立っている。
 「これだね~」
 瑠奈が壁を指差した。近くに老人が立っている。璃緒が話しかけるとその老人は、
 「ここはいざないの洞くつじゃ。じゃが 階段は 石カベで封じられておる。」
 と言った。そんなことは聞いてないのに、と璃緒は思った。しかし、口に出したりしなかった。そもそもどうしてこんなところにいるのだろうか。家族は心配しないのか。そんなことを璃緒は思った。
 「危ないので、少し離れててください。あの壁を爆破しますが、どれくらいの威力かこちらも把握してませんので」
 そう璃緒が言うと、老人は素直に壁から離れた。その際、魔法の玉か、とつぶやいた。
 男の話を聞き終えた頃には日が暮れていた。それで、四人はその宿に泊まることにした。チェックインを済ませ指定された部屋に入る。
 「明日は材料を集めないといけないわね」
 「そうだな。まず、予算というか、お金が足るかどうか・・・」
 緑崩がため息をつく。男から製造方法を教わったが、いくつか必要な材料があると言われたのだ。
 「銅板、鉄板、藤の蔓・・・・・・あとこの魔法の石ってやつか」
 「作りかたも複雑そうだな。俺にはよくわからんが」
 「えっと~漏斗状の鉄板の中に魔法石を詰めて細いほうの先に藤の蔓をたらす。それを導火線代わりにして爆破させるみたいだね~」
 「銅板を鉄板に貼るというのがわからないわね」
 「それはノイマン効果っていって、破壊力が増すんだよ~」
 「爆弾に鉄釘を詰めるのと同じか」
 「そうそう~。漏斗状にするのも爆風を集約させるためだったかな~」
 「やはり俺にはわからん・・・・・・」
 「カイ、近代物理学なんてわからなくても生きていけるさ。おれらにもわからんし」
 「近代・・・?異世界は技術が発達してるんだな」
 カイはうなるように言った。
 「魔法の石は発火性が高いから要注意って言ってたわね。気をつけないと」
 「持った手で扉を開いたら爆発したと言っていたな。静電気で爆発するってことか」
 「明日頑張って材料を集めましょう。集められたらいざないの洞くつで実験と本番を兼ねて爆破してみましょう」
 「で、アリアハンに戻ったはいいけど、どうするの?」
 「アリアハンに魔法の玉があるのか?」
 アリアハンの城門をくぐったところで、璃緒とカイが緑崩に聞いた。
 「いや、まあ絶対できるってわけじゃないんだけど、あてがあってね」
 勇者の家を通り過ぎ、道具屋の向かいにある宿屋に入った。緑崩が宿屋の主人に聞く。
 「奥の部屋の人ってまだこちらに泊まってます?」
 「マスク被った方でしたら、まだお泊りですよ」
 礼を述べて二階に上がる。
 「緑崩、誰に会うの?」
 「ほら、おれらが泊まってた時に、怪我してる男いたじゃん。魔法の玉作るのに失敗して怪我したとかって話だから」
 「いたね~。その人に作り方を聞くってことね~」
 「そういうこと」
 くだんの男が泊まっているという部屋の前に着いた。緑崩がこんこん、とノックをする。
 「はい?」
 男が扉を開ける。
 「怪我は大丈夫ですか?」
 緑崩は手に持っている果実酒を差し出した。
 「旅のものですが、お話をさせていただけないでしょうか」
 「俺に何か?」
 「魔法の玉を製作しているそうで、その作り方を教えていただけないかと思いまして。
 「そんなこと言われてもな、見てのとおり失敗したんだ。教えられることなんてねえよ」
 「それだけの爆発が起こせたのなら参考になります。是非教えてください」
 「そうか、まあそう言うなら教えよう。さ、入ってくれ」
 四人は男について部屋に入る。部屋のあちこちに薬品やら羊皮紙やらが散乱している。
 「よし、じゃあ大体の材料とメモを取ってくるから待っててくれ。
 男は奥の部屋に入っていった。
 これで魔法の玉が作れるだろうか。完成したわけではないらしいから、どこかに欠陥があるのだろう。もし実用不可だったらどうするか。緑崩は男が戻ってくるまで考えていた。
 萩原雪歩の初コンサートの翌日、璃緒たち四人はレーベの村に向かった。盗賊の鍵を得て、これからやることは当然魔法の玉の入手である。その為にレーベの村にやって来た四人であったが・・・・・・
 「人の家の鍵を勝手に開けるってのもねぇ・・・・・・」
 魔法の玉を作ってるという老人の家を探し、家のまで来た。しかし、ノックしても反応がない。ゲームでは問答無用で押し入って鍵をもらうところであるが、それを躊躇っているのだ。
 「どうする~?」
 瑠奈がカイに聞く。
 「そうだな・・・・・・しばらく待ってみて、家から出てきたら話してみるか」
 「そうね。少し待ってみましょうか」
 璃緒が同意したことにより待つことになった。そして一時間ほど経った。
 「来ないな」
 じれ始めた緑崩が言った。
 「だが、こんぼうで壊せるような壁じゃないしなぁ。どうしようか」
 「どうする~?さすがにギラやヒャドでも多分無理だと思うし
 「そうだな、待って出てくる保証もないからな」
 「そうね、待ってても仕方ないかもしれないわね。とはいえ私たちじゃ壊せないし・・・・・・」
 一同どうするか悩む。無理矢理押し入ってもいいが、下手をすればお尋ね者だ。できる限りそれは避けたいというのが共通の意見だった。
 「あっ!」
 何かを思いついたように緑崩が声を出した。
 「戻ろう、アリアハンに」
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