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いわゆる一つの萌え要素の為の場所
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 「そっち行ったぞ、瑠奈!」
 「燃えちゃえ~」
 「緑崩!後ろ!」
 「あまいっ!」
 「キキー」
 「カァーーッ!」
 「よっと・・・カラス程度が私に勝てると思ってるの?」
 「璃緒ちゃん恐い~」
 昼前に資金調達と訓練を兼ねて魔物と戦っている。昼ごろには目標額には達していた。後はどれだけ余剰を出してどうのつるぎの購入代金に当てられるかどうかだ。
 昼は宿屋の主人に作ってもらった弁当を食べる。水は十分なほど持ってきているし、川の水がきれいな為なくなれば補充ができる。
 昼休憩後、実戦訓練を再開する前に話し合いをした。
 フォーメーションは璃緒と緑崩が前線、瑠奈が後方だ。前線二人で戦線を作り、後方からの遠距離攻撃で撃退するという単純なものだ。これは空中から襲ってくるオオガラスには効果がないため、瑠奈はオオガラスを最優先で落とさなければならない。
 「敵が弱いからなんとかなってるものの、敵のレベルが上がると厳しいわね」
 「装備が調わないといっかくうさぎの突進は止められないだろうしな」
 盾がなければあの角は防げない。そう緑崩は思っていた。体に穴が開くことは避けたい。
 「わたしが一掃できる呪文でも使えればいいんだけど・・・」
 「結構後じゃないか?ギラを覚えるのは。まあメラでも一撃必殺なんだし十分やってくれてるよ」
 「とりあえず装備ね。頃合いをみてもう少し上の敵とも戦ってみましょう」

 そして訓練を再開し、日が沈む頃にアリアハンに戻った。
 今日の成果を確認する。お金は36ゴールドあった。32ゴールド稼いだことになる。
 お金を確認すると、璃緒は武器屋へ行こうと言った。
 「緑崩、これ」
 「こんぼう?璃緒が使うんじゃないのか?」
 「私は力任せに振り回すのは得意じゃないから。どちらかといえば緑崩よ」
 璃緒と緑崩とは戦い方が違う。違うというより、璃緒よりも緑崩のほうが戦い方が雑だ。後で回復すればいいという考えなのか、ごり押しをする傾向がある。攻撃も力任せなところが目立つ。そういう意味でこんぼうはぴったりの武器であった。
 「そういうことなら、もらっておくわ。素手よりは戦いやすいかな」
 こうして買い物を済ませ昨日と同じ宿屋に泊まる。
 余談だが、この宿泊代ですっからかんになり、今三人はお金を1ゴールドも持っていない。
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 それから町の人たちから情報を集めようと部屋を出た。廊下に出ると隣のドアが開いた。中から男が出てくる。
 「こんにちわ」
 璃緒が話しかける。一晩は隣に泊まるのだなどと話しかけた。
 話の中で、彼の向かいの部屋に泊まっている男はあるものを作ろうとして怪我したと言っていた。魔法の玉というらしいがあんな怪我をするほどとは物騒なものなんだろうと語った。
 彼から聞いた話で目立ったものはそれくらいだった。別れて宿屋を出る。日没までは三四時間ほどはあるだろう。
 それからも聞き込みを続けた。しばらく続けているうちに勇者の話を聞くことができた。勇者は来年王に旅立ちの許可をもらい魔王討伐の旅路につくらしいということだった。そしてアリアハン大陸にいる若者の中には旅のお供をするべく武器防具を調え鍛錬を積む者もいるということ、更には海を越えてアリアハン大陸にやってきた者もいるとのことだった。三人もそういう連中だと思われたので、そのまま否定せずにおいた。そのほうが説明が簡単であるからだ。
 大体聞ける話は出尽くしたろうと思ったので、宿屋に戻ることにした。
 部屋に戻って座った。
 「重要な内容は勇者の件くらいかしら」
 「だな。アリアハンが昔全世界を治めてたってのはひょっとしたら役に立つかもしれないな。他は―」
 「教会のおばあさん~」
 瑠奈の言葉に二人が笑いだした。
 「アリアハンの国は 海に囲まれた 大陸なのじゃ」と話してくれた老婆だ。そりゃまあ海に囲まれてるでしょうよ大陸だもの、そうみなが思ったのだった。
 「今日はゆっくり寝よう。明日はまた魔物の相手だから」
 璃緒は続けて言う。
 「とりあえず、明日の宿代くらいは稼がないと路頭に迷っちゃうわ。できればどうのつるぎくらいは買いたいけど、仕方ないから私と緑崩のひのきのぼうを買うことが明日の目標ね」
 緑崩は頷いた。瑠奈も異論はないようだ。
 ひのきのぼうが5ゴールドなので、16ゴールド必要だ。残り12ゴールドくらいいけるだろう、死んだら死んだその時だしな。そこまで考えて緑崩は思考を夕飯に切り替えた。
 部屋に入りテーブルを囲んで腰を下ろす。しばらくすると宿屋の主人がお茶を持ってきた。
 主人はごゆっくり、と言いお茶を置いて部屋を出た。
 お茶を飲んで一息つく三人。
 そして璃緒が切り出した。
 「さて、これからどうするか、だけど」
 二人に話すような口ぶりだが、顔は瑠奈のほうを向いている。
 「レベル上げでしょ~。お金もないし」
 「いやいやまずは情報収集だろ。観光もしたいがお金が溜まってからだな」
 二人の意見を聞いてあ然とする璃緒。気を取り直してから言う。
 「お家に帰るのよ?わかってる?」
 諭すように落ち着いた口調で言う。内心は感情の波が荒れ狂っているのだが。
 「それは~・・・・・・」
 「ひょっとして、瑠奈。帰り方わからないとか?」
 「いや~まぁ~ねぇ?なんていうか、その~・・・」
 「ないの!?」
 「だってホントにワープするとは思ってなかったから~・・・・・・ごめんなさい」
 「仕方ないね」
 森の妖精になりきって言った緑崩に璃緒が裏拳を叩き込む。
 「そうなの・・・・・・」
 顔を伏せて言う。瑠奈は気まずそうに璃緒の顔を見る。緑崩は周りの空気が重くなったように感じた。
 そんな二人を見て、璃緒が唐突に顔を上げて言った。
 「それじゃあ仕方ないわね。幸い夏休みだし、ドラクエ世界の冒険と行きますか。魔物との戦いも面白そうだし」
 空気が軽くなった。そう緑崩は感じた。微笑みながら言う。
 「そうだな。本物の戦闘を体験できるなんて滅多にないからな。現代じゃ冒険なんて不可能だしな」
 「とりあえず、今日は緑崩のMPがないし、できるのは町での情報集めくらいかしら。レベル上げは明日ね。それでいい?瑠奈」
 瑠奈の顔がぱあっと明るくなった。笑顔で言った。
 「うん!」
 「ここは アリアハンの城下町。北に行くとレーベの村がありますわ」
 門のそばにいた女性がそう言うのを聞いて、璃緒がふうっと息をついて言った。
 「無事着いたわね」
 「そうだな。とりあえず、ひとまず安心ってとこだな」
 「疲れた~」
 まず、宿屋に行く。
 「こんにちは、旅人の宿屋にようこそ。ひと晩 6ゴールドですが、お泊りに なりますか?」
 宿屋の主人にそう言われて璃緒がお金を出す。
 このお金は魔物を倒した時に何故か魔物が持っていたものだ。なぜ金貨などを魔物が持っているのか疑問に思った璃緒であったが、気にしても仕方ないので拾って持っていた。
 これって強盗まがいなんじゃないかと思ったが、正当防衛だということと、治療費と慰謝料だと自分を納得させていた。
 そのお金を数えると、10ゴールドあった。そこから6ゴールドを渡す。
 「はい、6ゴールド」
 渡しながら璃緒は思った。この世界では先払いらしい。物騒な時代だからだろうか。一般人以上の力量を持つ旅人を相手に商売するにはこれくらいじゃないといけないということかもしれない。
 部屋は二階のようだ。大きい部屋が二つ、小さい部屋が二つある。一日に四組しか入らないが、採算は取れるんだろうかと三人ともが思った。
 大きい部屋はすでに客がいたので、小さい部屋に入った。
 アリアハンへ向かう三人。しかし、その道中も魔物に襲われること幾度。
 璃緒がスライムを蹴り飛ばし。緑崩がスライムを引き裂き。瑠奈がオオガラスを焼き鳥にしながら進んだ。怪我をすれば大事になる前に緑崩のホイミで治癒をした。三人の後にはスライムの屍骸、オオガラスの丸焼き、そして血痕が点々と散らばっていた。
 そして、もう少しでアリアハンに着くというところで戦闘したのち、緑崩が唐突に言った。
 「あ、ホイミもう無理ぽ」
 MPが切れたみたいだ。これが何故わかったのか、それは緑崩自身もよくわからないのだが、使えなくなったことを自覚した。
 「あと少しなのにね・・・・・・薬草もないし、これは困ったわね」
 「敵が出なければいいんだけどね~」
 「そういう瑠奈はMPある?」
 「あとメラ二発かな~。多分それでなくなると思うよ~」
 瑠奈も何故かそれがわかった。自分にどれだけのMPがあるのか、メラ何発分なのか、正しく理解していた。瑠奈自身根拠は無いが間違いないと思っている。魔法とMPがなんなのか全く理解していないのに、である。これは緑崩も同じであった。
 「とりあえず敵に遭わないように祈りながら行くしかないわね。もし出会ったらなるべく攻撃をくらわないようにしましょう」
 「当たらなければどうということはない、だね~」
 「おk。じゃ行くか」
 幸い、それ以降敵に遭遇することは無く、無事にアリアハンにたどり着くことができた。
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