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いわゆる一つの萌え要素の為の場所
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 ある屋敷で男女が殺されているのが発見された。死んだ男はその家の持ち主で、女はその家に仕えるメイドだった。発見当時、家には男の妻と子供だけだった。凶器の包丁を調べたところ、妻の指紋が出てきた。阿武は夫人を呼び、そのことを言った。
 「凶器とみられる包丁にあなたの指紋がべったり付着してるんだけど、どういうことか説明してくれるかな?」
 「料理に使ったので」
 「御宅はお抱えのコックさんがいるよねぇ?なのにあなたが作ったの?」
 「・・・・・・」
 「説明してもらえますよねぇ?」
 「私がやりました。主人とあの泥棒猫をあの包丁で・・・・・・だって・・・あの晩・・・・・・」
 「うんうん、わかったわかった。話は署のほうでじっくり署で聞かせてもらうから、来てくれるかな?」
 こうして事件は解決した。
 こんな事件ばかりなら残業もなくていいのだが。いや、最善は事件など起こらぬことか。
 そんなことが頭をかすめた。
 煙草の煙がその頭を包んでいた。


緑崩:「どうだ?新作」
璃緒:「どうだ、と言われても・・・・・・ミステリーなのに謎すらないし」
緑崩:「違うのだよ璃緒君。その考えが間違ってるのだ」
璃緒:「え?何かあるの?」
緑崩:「ふふっ、ミステリーなのに謎がない。これこそまさにミステリー」
璃緒:「あーはいはい、わかったわかった。よかったねぇ」
緑崩:「謎がないことが謎であればその時点で謎はある。ならば謎がないことになる。いや、これも矛盾が生じる。どっちなのか、それこそが謎なのだ」
瑠奈:「違うよ~」
緑崩:「何が違うのかね?瑠奈君」
瑠奈:「最大の謎はメイドが夫人に殺されたことだなんじゃないかな~。メイドは戦闘訓練くらい受けてるでしょ~常識的に考えて」
緑崩:「なるほど!それこそ不思議だ」
璃緒:「どこの世界の常識よ・・・・・・」
瑠奈:「そもそもご主人様は独身男性でないといけないんだよ~」
緑崩:「そうだった!!この話は設定自体がもう既におかしかったんだな!」
璃緒:「・・・・・・・・・・・・だめだ。こいつら早くなんとかしないと」
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瑠奈:「ねえねえ璃緒ちゃん、戦略と戦術の違いってなに?」
璃緒:「うーん、そうねえ。戦略は戦争に勝つための方法で、戦術は戦闘に勝つための作戦ってとこかしら」
瑠奈:「もっと具体的に言ってほしいな~」
璃緒:「たとえば戦争が起こるとするじゃない。重要な産業や交易の要衝を失えば不利になるよね」
瑠奈:「うんうん」
璃緒:「てことはそれを守ることと、相手のそれを叩くことが勝ちにつながるわけ。政治的中枢を破壊したり司令部を陥落させることは大きいけれど、それは難しい。それをすればほぼ勝利と同義だから、敵国を弱体化させるために軍事力や国力を削いでそうしやすくするの。そのために都市を攻撃したり工場や農場を狙うのよ」
瑠奈:「それが戦略?」
璃緒:「そう。そしてそれを防ぐために防衛側が攻撃側を防ぐ、まあわかりやすく言うと攻撃して壊滅させるのよ。厳密に攻めと守りって言い切れないものもあるけどね。その時にどうやったら目的を達成できるか。防衛側なら攻撃側の撤退、壊滅。攻撃側なら守備隊を追い払って都市を占拠したりするのが目的になるわね。どうすればその目的を達成できるかを考えるのが戦術よ」
瑠奈:「あまり違いがわからないよ~」
璃緒:「そうね。厳密な違いはそれほどないわね。まあ流れを言うと、政治が開戦を決めて、勝利条件を決定する。次に勝利条件を達成するための戦略を練る。そこで大枠の目標や指針を決定する。これはどこを落として侵攻するのか、とかね。その落とす方法を考えるのが戦術。そして闘いが始まった時に、敵軍と闘う方法が必要。それが戦法とか戦闘ドクトリンと呼ばれるものなのよ。戦闘ドクトリンはなじみの薄い言葉だと思うけどね。防衛はまた防衛でどこをどの程度までの軍の消耗を覚悟してまで守るかとかを考える、これが戦略で、配分された兵力でどう守るかが戦術。たとえば相手の兵站断ち切っちゃうとかそういうのは戦術。なんとなくでもわかったかしら」
瑠奈:「わかったようなわからないような」
璃緒:「まあいいのよ。実生活に役立つ知識じゃないし。それに政治から戦法まで全てが相互に影響を与えるから厳密にどこからどこまでがそうとは言い切れないのよ。でも大体現代の軍隊のシステムだと、首相や大統領が政治を行って幕僚長が戦略を考えて、師団長が戦術を実行して各種の戦法を使って小隊が戦闘するってのが大体の目安かな」
瑠奈:「兵制なんて詳しくないよ~」
璃緒:「そうだったわね。でも、急にそんなこと聞き出してどうしたの?」
瑠奈:「VIPでそういうスレがあったから気になってね~」
璃緒:「ふ~ん、そういうとこってこういう話もするのね」
瑠奈:「頻繁じゃないと思うけど、たまにあるね~。刀と槍どちらが強いかとか」
璃緒:「面白そうね。最近の人たちがどういうふうに考えてるのか興味あるわね」
瑠奈:「じゃあ璃緒ちゃんもたまに覗いてみなよ~」

璃緒:「私の絵描けた?」
緑崩:「ええっと・・・・・・ええ・・・まあ・・・・・・」
璃緒:「そう。じゃあ、早く見せて」
緑崩:「いえ、あの・・・それはぁ・・・・・・そのぉ・・・・・・」
瑠奈:「さあ、勇気を出して見せるんだ~」
緑崩:「お前は気楽でいいなぁ」
璃緒:「いいから早く見せる」
緑崩:「ちょ、おま、力尽くで持ってきやがって」
璃緒:「さあて、出来はどうかしら・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
緑崩:「璃緒が止まった・・・・・・これは死んだかな・・・」
璃緒:「緑崩?何かなぁ?この絵は?私こんな顔してるかな~?」
瑠奈:「璃緒ちゃん怖い・・・」
璃緒:「こんな変な顔なわけないでしょうがー!!」
右のボディブロー、左のフック、右のアッパー。重心が浮いたところにショルダータックル。これはかなりの発剄だ。倒れそうになった緑崩を捕まえ往復ビンタ。崩れ落ちる緑崩のあごを右ひざが捉える。これだけでは終わらない。仰向けに寝ている緑崩の右腕を捕らえ腕十字固めを決める。
瑠奈:「You win.Perfect」
璃緒:「ちょっとやりずぎちゃったかしら」
瑠奈:「ちょっとかな~・・・・・・?」
璃緒:「とまあ、こんなわけで、緑崩は絵がさっぱり描けません。なので、私や瑠奈がどんな顔してるかは創造にお任せします。なお、イラストを描いていただける方大歓迎です。コメントに絵を付けることはできると思いますので、描いて下さった方はコメントからお願いします」

瑠奈:「仮想論理(サイレントレクイエム)の璃緒ちゃん」
璃緒:「サイレントなんだって?いきなりなに言ってるの?瑠奈」
瑠奈:「いや、それが璃緒ちゃんの二つ名。仮想論理(サイレントレクイエム)だから覚えておいてね。ちなみにわたしは饗宴(ウロボロス)の瑠奈」
璃緒:「ウロボロスって確か自分の尾を食べる蛇だったかしら」
瑠奈:「そうだね~。そうなっちゃうね~」
璃緒:「いくら食いしん坊の瑠奈でも自分食べちゃ駄目よ?」
瑠奈:「そんなことしないよ~。そうだ、尾じゃなくて璃緒ちゃん食べよう。がお~」
璃緒:「こら、やめなさいって・・・・・・ちょっと、そこダメ・・・・・・あ、や、くすぐったいってぇ・・・・・・」
瑠奈:「よいではないか、よいではないか~」
緑崩:「お前らなにやってるんだ?」
璃緒:「いや、さっきから瑠奈がくすぐってきて・・・って見てないで助けてよ」
瑠奈:「いや~最近の流行は百合じゃないかって思って~。うりうり~」
緑崩:「いや、それは食べるって意味が根本的に違うと思うが・・・・・・ってそんなもん流行らないだろw」
瑠奈:「きっと私たちのように可愛い娘同士だったらきっとみんな夢中に」
緑崩:「それについてはノーコメントで」
璃緒:「そもそも私たちの顔ってだれも知らないんじゃない?」
緑崩:「大丈夫だ。そもそもない」
瑠奈:「デュラララの首なしライダーじゃないんだから。顔出しNGってだけなんじゃないかな~。そうだ、りょっくん描いてみよう。それをうpすれば私たちの容姿がわかるでしょ~?」
緑崩:「無茶言うでねえ」
璃緒:「それ、面白そうね。緑崩、期待して待ってるから。まあ、下手な絵描いたらわかるわよねえ?それじゃあ」
緑崩:「うおぉいハードル上げて去ってくなや」
瑠奈:「じゃあ、りょっくんの画、楽しみに待ってるね~」
緑崩:「お前が待ってるのはおれが璃緒にふるぼっこされるところだろうが」

  次回に続く

 今里との会合が終わり、親方と柏木を連れて店を出た。行きはバイト先から歩いてきたが、帰りは親方の車に乗り込む。おれが助手席に、柏木は運転席の後ろに座った。
 親方がエンジンをかけ、車を発進させる。車が駐車場を出たあたりで親方に訊ねられた。
 「それで、若のほうはうまくいったんですか?」
 聞かれることがわかっていた質問だ。親方たちと会うのは事件以来だ。真っ先にされる質問だろうと予測していた。
 「おれは心を読めないから確かなことは言えないが、脈はあると思う」
 「そうですか。それはよかった。それじゃあ聞かせてください、喫茶店での話とか」
 「あんときはお互いに自己紹介したくらいで、あとは単なる世間話だけだ」
 「その後はなにかあったんですか?」
 恥ずかしい話だし、あまり話したくはないことだが・・・・・・仕方がない。親方たちがいなければうまくいかなかったんだしな。
 「ああ、逃げるときに手をつないだりな。電話番号も交換したし、上々の戦果だ」
 できる限りそっけない口調で言った。だが、自分でもにやけているのがわかる。それに気付いてるのか親方はこちらを見ない。見たら殴ろうかと思っていたが。そもそも脇見運転だ。
 「ああ、それと、あれはよかったぞ。カラスたちと戦うところ」
 「ありがとうございます。演出を考えた甲斐があるってもんです」
 「吉本のパクリのような話だけどな。だが、常道故に効果的だった」
 「あそこは死人で一層盛り上げられましたね。大桑さんの死体役があればこそ、ですよ」
 「そういえば、あの強盗役の女は誰だ?初めてみるが」
 「野良猫ですよ。二週間前に拾ったら懐かれまして。結構肝の座ったやつですよ」
 「あまり追求しないでおくよ」
 「そうしてくれると助かります」
 それで車内が静かになった。柏木はずっと五線譜と格闘している。バンドのメンバーが増えたことが嬉しいのだろう。
 「だが、すまないな。おれのためにいろいろとやらして」
 「いいですよ。若のためですから。それに、あの銀行は大鷲組とつながってるって話ですからね。組としても敵から金を奪うに等しいことなんで異論はありませんでしたよ。多少若たちの尾行に人手を使いはしましたが」
 念のためかばんに発信機を付け、隠密行動に特化したフクロウを監視につけておく、と言っていたな。打てる手を全部打ってくれたらしい。
 「そう言ってくれると助かる。なにしろ、もう一度お前らに頼まなければならないからな」
 「わかってますよ。組員の指揮はお任せください」
 「その頃には足も治ってるので私もやりますよ」
 次は彼女が使ってるもう一つの銀行だ。組に利益になることはない。未遂で終わるということまで決まったいるからだ。金を取らないのは、こちらの世界と全く関係のない銀行を狙うことになるからだ。それは任侠道に反することだ。
 今回と次の件で組の者にも迷惑をかける。だが、彼女と接触するにはこれ以外に方法がなかった。彼女におれという存在を知ってもらうにはこうするよりしょうがなかった。
 悪いことをしているという自覚はある。責を背負う覚悟もある。他人から見ればとんでもないことだろう。女一人の為に銀行強盗だのとは。だが、どうしても彼女への気持ちを抑えられなかった。彼女がおれにとってそれだけのことをさせる女性だということだ。
 その気持ちが今日更に強くなった。携帯に登録したばかりの彼女の名前を見ながら、おれは彼女のことばかりを考えていた。
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