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いわゆる一つの萌え要素の為の場所
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 「大桑さん、もうええで」
 かばんを回収し、持っていた二人がいなくなってから小野がおもむろに言った。視界の先には男が真っ赤になって倒れている。今は小野を含めてカラスと倒れている男しかいない。
 その男がむくりと起きだした。
 「そうですか。では。・・・・・・うーん、やっぱり気持ち悪いな」
 「まあ役目やさかいしゃあないわ。これも若の頼みじゃけえ」
 「そうですね。うまくいったみたいですね、死体役」
 「なかなかやったでえ。わいがちょっと早すぎたかもしれへんけど、そっちはうまかったわ」
 「あの女性、本当に怯えてましたからね。やりすぎかもと思ったくらいでしたよ」
 「まあそれくらい脅かしたほうがええやろ。警察に出られると後々面倒やさかい」
 「それもそうですね。それに、恨むなら若を、ですし」
 「でも、わしらはホンマに怖かったんかいなぁ」
 そう言った小野の口調は、どこか寂しそうであった。
 「それは、まあ・・・・・・見たからに、実際にそうですけど、極道もんですからね。それがポン刀持ってるんですから、怖いですよ」
 「うちは極道もん以外は殺さへん。それが掟や。でも、それを知らんやつにはああいう脅しは効果的やっちゅうことやな」
 「確か親っさんが組を作った時に決めたものでしたよね」
 「ああ、わしはその頃からおったんや。一に極道同士でなければ殺生はせず。二にこの世界から足を洗う者を止めてはならず。抜けるんが自由なのは任侠道が過酷だから、やそうや。実際うちは入るに難しいからな。選ばれなければ入られへん」
 「親っさんが率先して極道から足を洗うよう勧めてるふしがありますね」
 「特に女子供が出来たりしたらな。姐さんはもともとこっちの方だったが、若には大学に行かせたりしてるな」
 「若はうち抜けるんですかねえ」
 「相手と上手くいったら組を辞めるやろな。向こうはカタギやさかい」
 「上手くいくといいですね」
 「せやなあ。ちょっと寂しい気もするがな。うちらは若直属の舎弟にやし、ずっと見てきたからな」
 「さて、ぼくたちもそろそろ帰りましょうか」
 「そんな格好のままおっても可哀想やからな。おい、おまえら帰るでえ」
 そして、その場には誰もいなくなった。そこには赤い水溜りだけが風で波をつくっていた。
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 おれはすぐにその場を離れ、家に帰ろうと歩きはじめた。隣には朱宮さんがいる。彼女がおれに話しかけた。
 「あの・・・・・・すいませんでした。あなたまで巻き込んでしまって」
 「いや、いいんですよ。こうして二人とも無事なんですから。気にすることはないですよ」
 「でも・・・なぜ助けてくれたんですか?私をおいて一人で逃げれば小鳥遊さんまで追われなくて済んだのに。結局助けてもらってこんなこと言うのもなんですけど」
 「いえ、あなたを一人おいて逃げられなかった。ただそれだけですよ」
 「あ・・・・・・ありがとうございました。そう言ってもらえるて嬉しいです」
 十字路に差し掛かった。ここを家に行くには右へ曲がらなくてはいけない。
 「朱宮さんはどちらへ?私はここを右ですが」
 「えーっと・・・・・・この辺りはよくわからないんですけど、たぶん私も右へ行けばいいと思います」
 二人とも右に曲がる。普通の住宅地が続く。よくみると右側は十軒ほど同じような造りをしている。同じ会社が建売販売したものだろうか。
 「小鳥遊さんってなにか格闘技をやってるんですか?」
 「はい。いくつかやったことがあります。趣味の範囲で、ですけどね」
 「そうなんですか?あの、趣味の範囲で日本刀をとめたりできるんですか?」
 「いえ、あれはかなり偶然ですよ。そう簡単にできるもんじゃありません。運がよかっただけです」
 そう話しているうちに三叉路に出た。まだまっすぐ行けばいい。この道は少しカーブをしているのでまっすぐというのはおかしい表現だが。
 さっきの会話以降彼女はなにも話さない。おれも自分から話すようなことがない。なにかこのまま沈黙を続けるのもアレなのでなにか会話をしたいが、なにを話していいのかがわからない。
 そんなことを思いながら歩いていると、広い通りに出た。
 「やっと道のわかるとこに出ました。私はここをあちらですけど、小鳥遊さんはどちらですか?」
 彼女はここを左らしい。こちらはまだ直進だ。
 「私はまだまっすぐです。じゃあ、ここでお別れですね」
 「あ、はい。そうですね」
 「では、また、なにかあったらお会いしましょう。ま今回みたいな命懸けなことはいやですが」
 「そうですね。今度会うならなにか、できれば楽しいことで会えるといいですね」
 「それはそうですね。あ、そうだ、朱宮さん」
 「はい?」
 メモ帳を破り手早く数字を書いた。折角のチャンスだ。
 「これ、私の番号です。なにかあったら連絡して下さい」
 「あ、わかりました。じゃあ、私も」
 今度は彼女が連絡先を教えてくれた。思い切って言ってみてよかった。
 「では、これで失礼しますね。・・・・・・あの、今日は本当にありがとうございました。無事でいられたのもあなたのお陰です」
 「いえいえ、無事でなによりです。それじゃあ」
 そう言って別れた。しばらく歩み去ってゆく彼女の後姿を眺めてから、再び帰路についた。
 小野が一歩近づいてきた。ここがおそらくあいつの間合いだろう。一歩踏み込み刀を振り下ろせば簡単に人を殺せる距離だ。
 「とりあえず、前にいるあんちゃん死んでもらおうかい」
 右足を一歩踏み込む。刀が振り降ろされる。
 「はっ!」
 一歩で間合いを詰め、右手で柄を払う。
 払った勢いを利用してがら空きになったボディを狙う。
 左のボディブロー。
 小野は右手を刀から離し、肘を引いて防ぐ。
 防がれても距離を詰める。至近距離なら左手の刀を使えない。
 くっついている以上、あまり強いのは入れられない。だが、先手を取って攻められている。左手に刀がある以上この距離なら有利だ。
 左、右のワンツー。浅い。更に右でリヴァーを狙う。
 小野が刀を捨てた。左で防がれる。
 左で顔を狙う。
 小野は首をねじり避ける。
 バックステップ。一度距離をとる。これが自分の距離だ。
 小野は不動。構えたまま動かない。だが、力みがなく隙もない。
 さて、どうするか。小野がどうするか。
 お互い動かない。この場の時が止まったかのようだ。他のやつらも全く動かない。朱宮さんも不安そうにこちらを見つめたままだ。
 小野が急に構えを解いた。
 「もう止めや。おまえら帰るでぇ」
 男たちは素早く小野の後ろに集まった。
 「時間がかかりすぎや。人目に付く前にとっとと帰るで。あんたらも早ういきや」
 「見逃しくれるのか?」
 「誰にも喋らんでくれたらそれでええ。どうせ警察に知られたところでパクられたりはせんけどな」
 「そうか。それは助かるな」
 朱宮さんに言う。
 「それじゃあ帰りましょうか。無事に帰してくれるみたいですし」
 「そ、そうですね。ちょっと話が読めないですけど」
 「ああーあなた、これ」
 強盗の女がおもむろにかばんを差し出した。
 「あんたのでしょ?そもそもわたしがあんたのまちがえなきゃよかったんだけどね、ま、しょうがない♪」
 やはり軽いやつだ。
 朱宮さんが受け取り中身を確認する。なにも取っちゃいないわよ、と強盗の女がちゃちゃを入れる。
 「あ、ありがとうございます」
 「まあお礼を言われることでもないけどね♪」
 彼女のかばんだ。わざわざ返すのも親切な話だ。
 「よかったですね、無事戻ってきて」
 「はい」
 ヤクザ風の男たち四人から逃れ、彼女をつれて走った。もう五分ほど走ったろうか。後ろから追ってくるものは見えない。この一本道を抜ければ大通りで人が大勢いる。人目につくところで荒事をするわけにはいかない。警察を呼ばれてはどうしようもないからだ。銀行強盗という犯罪を犯しながら警察を恐れないわけがない。
 「もう少しで大通りに出ます。それまでは辛抱して走ってください」
 「は、はい」
 彼女はだいぶ息があがっているようだ。精神的にも身体的にも限界に近いのかもしれない。
 彼女の顔を見つめながらそう考えた。
 「あ!ああ・・・前」
 彼女が声をあげたので、前を向いた。
 前には二人のほうをじっと睨んでいるものがいた。一人女がいるが、あとは全員カラスのように真っ黒なスーツを着ている。そして、その一人は日本刀を鞘に納めたまま杖のように持っている。
 日本刀を持った男が言った。
 「わしは小野っていうもんや。ちょいとお姉さんのバッグにあるもん出してもらおうか」
 「な、なんなんですか」
 「あなたたち、私に見覚えある?」
 横に居た女が話に割り込んだ。あの時と同じ格好、同じかばん。彼女だってわからないはずはなかった。
 「あなたは・・・・・・あの時の!」
 「そう、強盗よ♪」
 こいつノリが軽いな。だが、あまり思いつめる性格で強盗なんて出来ないのかもしれない。
 そんなことを考えていると、左の家から人が出てきた。細身の中年男性である。彼はこの状況に驚いているようだ。
 「ん、あんたらなにやってるんだ!」
 傍から見ていれば剣呑な事態である。もちろん事実安穏な状態ではないが。
 「なんじゃぁわれは」
 小野が微動だにせず聞いた。
 「か、刀!?・・・・・・け、警察に・・・」
 「そうはさせれへんなぁ」
 そう小野が言うと、五メートルほどの間を二歩で詰める。その間に素早く日本刀を抜くと、家に戻り始めていた男を追い抜き目の前に立った。
 「な・・・・・・!?」
 「死んでもらうでぇ」
 と言うと刀を袈裟切りに振り下ろした。
 速い。
 男が倒れる。
 地面が真っ赤に染まった。男は倒れたまま動かない。あたりに鉄の臭いが漂う。
 朱宮さんの前に立ち、見えないようにした。いくらなんでも普通に見ればショッキングな事態だ。
 「あまり、見ないほうがいい」
 「あ・・・は、はい」
 彼女も少なからずショックを受けてるようだった。
 そんな二人のほうを向くと、小野が言った。
 「さてと、まずかばん返してもらうでぇ」
 後ろを向いて言う。
 「どうしようもありません。ここはおとなしくかばんを返しましょう」
 すると彼女は頷いておれにかばんを渡した。
 「これでいいか?」
 そう言ってかばんを投げ捨てた。小野はかばんを拾ってなかを確かめるなり言った。
 「ど~もぅ、確かにこれでええわ。わいらにはとばっちりくわして悪かったなぁ」
 「・・・・・・」
 「あっちでは往生せえや」
 そう、小野は抜き身の刀を上段に構えて言った。
緑崩:「今更ながら、2007年に起こった重大事件を書いてみよう。上位から三つ」
瑠奈:「ほんとに今更だね~」
璃緒:「もう年が明けてから半月以上経ってるわね」
緑崩:「わたしの遅筆でそんなに早くに書けると思うか?」
璃緒:「遅筆は意味が違うような・・・・・・単に手間だったのと思い立たなかったってだけだし」
緑崩:「さあ、ぶつぶつ言ってるのは置いといて瑠奈はどう?」
瑠奈:「ん~と、こんなんかな~。三位らき☆すた、二位nice boat、一位ひぐらし解放送中止」
緑崩:「ふむふむ、らき☆すたはすごい反響があったもんなぁ、いい意味dも悪い意味でも。しかし、nice boatよりもひぐらしが上か」
瑠奈:「うん、すくいずよりはひぐらしのほうが優先順位が高いからね~。ほんとうに放送倫理とはなんたるかを瑠奈が教えてあげよっか、って思ったもん」
緑崩:「確かにな。ひぐらしに影響を受けたとかっていう報道がされてたな。あれだけこじつけれられればなんだって共通点がある。ジェイソンのほうが武器の差で事件と近いし。模倣するならそっくりにするだろうと思うし、親を殺すのがメインの話じゃない。そもそも殺害の動機に関係するなら問題だが、方法を真似ただけで問題だったら大半の作品は模倣される可能性がある。刑事物のドラマのほうがリアリティがあって参考にしやすそうだ・・・・・・そうでもないか。細い短いナイフを腹に突き刺しただけで即死するのとか見てるとそうとは断言しにくいか」
瑠奈:「私としては、テレビがなに言おうがかまわないんだけど、視聴者を置き去りにしての対応に憤りを感じるんだよ~。まあ本音は放送してさえくれればいいってことなんだけどね~」
緑崩:「それが真理だ。好きなものを貶められたり、観てるものをいきなり放送されなくなるから怒るんだ。興味のない人はわが身に降りかかるまでは無関心なもんさ。ところで、璃緒の重大事件は?」
璃緒:「上から、中日日本一、古田辞任・引退、福留カブス入団。あと、ヒルマン監督勇退とか山崎ホームラン王かな」
緑崩:「そんなもんだねぇ。和田、カブレラ等が抜けて西部がどう戦力を立て直すか今年の見所だろうね」
璃緒:「緑崩は?」
緑崩:「そうだねぇ。三位nice boat、二位Aice5解散、一位ほっちゃん事務所移籍。他にもいろいろあったけどね。ほっちゃんがテレビ出たとか、黒薔薇保存会とか」
瑠奈:「やっぱり偏ってるな~」
璃緒:「相変わらずついていけないわ(苦笑)」
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